株式会社フランチャイズブレインは、
フランチャイズコンサルタント伊藤 恭が代表を務める会社です。
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COLUMNCOLUMN

  • COLUMNはフランチャイズビジネスの健全な発展をモットーに活動するフランチャイズコンサルタント伊藤恭が書き綴ったエッセイです。反論やご意見を受け付けておりません。無断転用を禁止します。
  • 悪徳FC専門コンサル会社にご用心                         ベンチャーリンクの悪行を忘れない                        商標ライセンス型 FC は何故日本では FC ではないのか               やっぱりドトールが好き                             海外はチャンスにあふれている~海外進出のすすめ~                我が家(伊藤家)のルーツ                             失敗しないフランチャイズ選び                              この加盟店はすごい!!                              本部訪問のすすめ                                 外食 FC 加盟のポイント                                FC チェーンの人手不足対策                           フランチャイズで成功する人                           「無人営業業態」の将来性                            フランチャイズ加盟のメリットとは                           メガフランチャイジーをめざすには                         危ないチェーンの見分け方〈その 1〉                       危ないチェーンの見分け方〈その 2〉                       やる気スイッチグループの M&A                           少子化の中、何故教育関連フランチャイズが強いのか                 同姓同名                                    伸びるフランチャイズの見極め方                         こういう人がフランチャイズで失敗する                         商店街のあり方を考える                              銀行口座が作れない                                  元気な企業はここが違う                             杉並発の飲食ベンチャー「げんこつ屋」倒産                     銭湯への補助金                                 最近のフランチャイズ加盟の実態を解く                      
  • 悪徳フランチャイズ専門コンサル会社にご用心                   
     当社はフランチャイズ本部を立ち上げて事業のフランチャイズ化を生業としている。これまでに多くの企業のフランチャイズ展開をさせていただいた。中には、加盟店が 1 社も獲得できずフランチャイズ事業から撤退した企業がある一方、大成功してナショナルチェーンとなった企業もある。フランチャイズ展開が成功するか否かは、お手伝いした当社のノウハウに起因する場合がないとは言えないかもしれないが、やはり、クライアントが開発した業態の優劣やフランチャイズ事業にかける熱意によるところが大きい。だから、コンサルティングの打診をされた時、小職の見立てでフランチャイズ展開が難しいときは受注をお断りすることにしている。クライアントの社長が部下に丸投げするような場合も同様だ。引き受ければ、クライアントからコンサルフィーを払ってもらえるが、敢えてお断りする。お断りすることが『良心』でもあるのだ。当社は、これまでにクライアント企業とトラブルになったことは皆無だ。
     先般、フランチャイズ展開を目指す企業(A 社)とコンサル会社(B 社)がトラブルとなり、訴訟となったケースがあったのでご紹介する(東京地判令和 2 年 3 月 24日 2020WLJPCA03248041)。A 社と B 社は「顧問コンサルティング契約」を締結したが、結局フランチャイズ展開はできず、A 社が B 社に支払ったコンサルティングフィーの返還を求めたものである。
    <事案の概要>
     A 社は、フランチャイズ化を志向する事業者で、ピラティススタジオ運営、ヨガスタジオ運営等を業とする企業。B 社は、フランチャイズ本部構築支援、のれん分けなどを支援するフランチャイズ専門のコンサルティング会社である。
     A 社と B 社はフランチャイズ本部構築顧問契約を締結したが、A 社は契約期間の途中から B 社に報酬を支払わなくなった。これを受け、B 社は、フランチャイズ本部構築顧問契約を解除し、未払の報酬を請求したのに対し、A 社は、「B 社がコンサルティング業務を完全に履行していない」として、「B 社」に債務不履行があると主張し、既払の報酬の一部の返還を請求した。
    <A 社の主張>
     フランチャイズ本部構築顧問契約によって被告が取得する報酬額2160万円(消費税込み)の高さや,同契約の目的(A 社の事業組織をフランチャイズ・チェーン化すること)の明確性から、同契約に基づく被告の債務は,請負契約に近い性質を有するものであり、少なくとも被告のスタッフの数名が原告の事務所に常駐するなどし、同契約が終了した時点で確実にフランチャイズ・チェーン化を実現することを前提に、徹底したサポート体制を構築し、これを実行することを内容とするものであったというべきである。また、B 社のコンサルティングの内容は到底コンサルフィーに見合うものではなくお粗末な内容だった。
    <争点>
     B 社の債務不履行の有無、コンサルフィー(税込 2160 万円)は公序良俗に反する法外な金額であるか否か
    <東京地裁の判決>
     同契約は請負契約とは言えず原告の主張を採用することができない。
    <コメント>
     東京地裁の判断は妥当であり、小職もこの判決を支持する。コンサルフィー(税込2160 万円)は法外だが、納得して契約した A 社にも責任はある。
     だが、A 社は B 社より受けたコンサルティングの内容は会社経営やマーケティングの経験者であれば多くの者が心得ているようなことをただ聞かされただけでありコンサルフィーに見合うものではないということや、契約締結前の打ち合せで「すぐに元はとれる」との説明があったとのことは看過できないところだ。本部が加盟希望者を探し出してフランチャイズ契約を交わすことは簡単のことではない。特に初期段階のフランチャイズ本部は加盟者募集に苦労する。「すぐに元はとれる」は、B 社の常套句でもあるが、決してコンサル会社が営業トークに使ってはいけない禁句である。このような B 社に係るボッタくり体質やコンサルティング内容のお粗末さはこれまでに度々耳にしてきたが、今回の事案で噂が実証されたということだろう。
     フランチャイズは経営資源が乏しい中小企業が大きく飛躍する可能性を秘めた仕組みである。このような悪徳コンサル会社がフランチャイズ業界から退出することを願わずにはいられない。                                  ※無断転用を禁止します。                     BACK
  • ベンチャー・リンク社の悪行を忘れない
                                                ベンチャー・リンクという企業があったことを知らない世代も増えてきた。今のフランチャイズ業界の現場で活躍する諸氏に、ベンチャー・リンク社が道を誤りフランチャイズ業界に多大な混乱を巻き起こしたことを知ってもらいたい。ただ、小職の身近で起こったことであるが、小職がはベンチャー・リンク社の社員であったわけではなく、以下は報道や被害にあった関係者たちに聞いた内容に基づくものであり、不正確な部分があることは否めない。そこは容赦願いたい。
     まずは、ベンチャー・リンク社の沿革を簡単に説明すると以下の通りとなる。
    1986 年 3 月 株式会社ベンチャー・リンク設立。
    1991 年 5 月 サンマルクと業務提携。
    1995 年 3 月 株式を店頭公開。
    1995 年 12 月 ガリバーインターナショナルと業務提携。
    1997 年 1 月 タスコシステムと業務提携。
    1997 年 12 月 レインズインターナショナルと業務提携。
    2001 年 3 月 東京証券取引所 1 部上場。
    2001 年 12 月 株式会社プライム・リンクが Nasdaq Japan(後のヘラクレス)に株式
    を上場。
    2005 年 7 月 アイディーユー(現:日本アセットマーケティング)と業務提携。
    2009 年 2 月 日本振興銀行と業務提携。
    2010 年 9 月 1 日 持株会社体制に移行。社名を「株式会社 C&I Holdings」に変更。
    ビジネスマッチング事業については、「株式会社ベンチャー・リンク」)に移管。
    2011 年 10 月 3 日 東京証券取引所、上場廃止。
    2012 年 3 月 12 日 東京地裁へ民事再生法の適用を申請し、同日保全命令を受けた

     ベンチャー・リンク社とはサンマルク、ガリバー、高田屋、牛角、タリーズ、かつやなどを次々と世に出したコンサル会社だ。創業者は小林忠顕氏、加盟店開発代行により大きな利益を稼いだ企業で、一時は飛ぶ鳥を落とす勢いという表現がピタッとはまる企業だった。これだけなら、特に珍しいと感じないかもしれないが、ベンチャー・リンク社の商法はもっと奥深い。
     ベンチャー・リンク社の前身である株式会社日本エル・シー・エーは地方の金融機関とネットワークを持ち、独自の会員組織を持っていた。その中には、本業の伸びしろがなく新たな事業を模索する中小企業は数多くあった。当初はそうした企業に優秀なフランチャイズチェーンを紹介することで、本部から紹介料をもらえることにビジネスチャンスを見出したのだろう。いわゆる、加盟店開発代行業務だ。
     その後、ベンチャー・リンク社の加盟店開発業務は進化していく。既存のフランチャイズチェーンに加盟希望者を取り次ぐのではなく、自らが有望なフランチャイズチェーンを発掘して育成する、彼らがいうところの「フランチャイズファクトリ」に特化していく。ものになりそうな店を見つけると代表の小林氏が直々にアタックし、ベンチャー・リンク社との提携を口説いて回った。口説き文句は、ベンチャー・リンク社と提携してフランチャイズ展開をすることで莫大な利益を得られるというものだった。
     そして、提携先に対しては、ベンチャー・リンク社がフランチャイズ展開に相応しい業態にブラッシュアップするためのコンサルティングを行う。これを同社が持つ会員組織のメンバーに取り次ぐというのが基本的なビジネスモデルだった。ベンチャー・リンク社の取り分は、本部が受け取る加盟金の半分を受け取るという構造であった。
     ベンチャー・リンク社が扱う業態は大ブレークするものも多く、やがてベンチャー・リンク神話が生まれていく。ベンチャー・リンク案件は絶対儲かるというものだ。やがて、競うようにベンチャー・リンクが紹介するチェーンに加盟する企業が続出した。おそらく、中小企業の経営者にとって、バブル崩壊後の低迷する日本経済のなかで、ベンチャー・リンクは希望の星に見えたのだろう。当初は、ベンチャー・リンク社の事業は本部、加盟店、ベンチャー・リンク社のすべてが win win となるものであった。これだけならベンチャー・リンク社が世の中から非難されるいわれは全くない。
     ところが、ベンチャー・リンク社の商法はさらにエスカレートしていった。彼らは、単に加盟店を本部に紹介してマージンの得るだけでなく、発掘した企業に出資し、その企業を上場させることによって莫大なキャピタルゲインを得られることに気づいたのである。だが、フランチャイズ本部が上場するためにはある程度の店舗数が必要となるため、それなりの時間がかかる。
     そこで、ベンチャー・リンク社はエリアエントリー方式というこれまでにない仕組みを考え出した。エリアエントリー方式とは、本部が加盟店に特定のエリアで本部の開発した事業を行う権利を与えるというもの。これなら、短期間に多くのフランチャイズ契約を締結できることになる。ベンチャー・リンク社が開催したデリバリー寿司の事業説明会では、1日の説明会で 50 件の加盟申し込みがあったというから驚きだ。
     本部企業は受け取った加盟金を売上高として会計処理する。従って、本部企業は短期間の間にろくな実績もないにもかかわらず会計上は多くの売上と利益を獲得することになる。上場基準を満たすことは難しいことではない。
     ところが、エリアエントリー方式で本部とフランチャイズ契約をした加盟店の中に、ベンチャー・リンク社の説明通り指定された地域に店舗を出店することができない加盟店が続出した。外食業や小売業、あるいは店舗型サービス業では店舗物件の立地が業績に大きな影響を与える。どんなによい業態でも立地が悪ければ立ち行かない。本部としても失敗の可能性が高い立地への出店を認めるわけにはいかない。未出店店舗数の正確なデータはないが、一時は数千件に積みあがった。エリアエントリー方式のフランチャイズ契約には契約締結から店舗出店までの期限が設けられていて、一定期間内に出店できないと、加盟金は没収された。高額な加盟金は、決して加盟店には返還されない。中には、本部が示す条件を満たす店舗物件を探しだすことが極めて難しいというケースもあった。おそらく、ベンチャー・リンク社はこのことを理解していたはずである。だとすると、詐欺に近いと言わざるを得ない。
     その後、ベンチャー・リンク社は多くの訴訟を起こされ、敗訴するケースがいくつもあった。やがてベンチャー・リンク神話は崩壊し、見るも無残な結末を迎えたのである。いまから思い起こしても、ベンチャー・リンク社が残した罪は大きいと言わざるを得ない。
     ベンチャー・リンク社の置き土産は、フランチャイズは信用できないという先入観を日本人や企業に植え付けてことだ。まっとうなフランチャイズチェーンは大きな影響を受けたことはいうもでもない。いまではベンチャー・リンク社の残党といわれる人々が各方面で活躍している。そしてその多くはベンチャー・リンク出身であることを公表していない。彼らには、自分たちが犯した罪の深さを決して忘れないよう肝に銘じてもらいたい。                                  ※無断転用を禁止します。                     BACK
  • ■商標ライセンス型 FC は何故日本では FC ではないのか                                    
     
    フランチャイズが日本に導入されたのは 1963 年、東京オリンピックが開催された前年のことです。日本で最初のフランチャイズは「ダスキン愛の店」やペコちゃんでお馴染みの洋菓子の「不二家」と言われています。
     フランチャイズは言うまでもなく米国で生まれたビジネス手法です。ところで、あまり知られていないのですが、米国では、フランチャイズは商標ライセンス型フランチャイズとビジネスフォーマット型フランチャイズの 2 種類に分類されます。
     米国でフランチャイズが誕生したのは 1850 年代といわれ、はじめてフランチャイズ展開をしたのはシンガーミシンというのが定説です。今の日本国内にあるシンガーミシンもこの流れをくむものだと言われています。シンガーミシンは、販売員に対し特定の販売地域を指定してミシンの販売権を付与、販売割合に対しその対価を徴収する方式で販売組織を作り上げました。シンガーミシンのやり方は 2 つのフランチャイズのうちの商標ライセンス型フランチャイズに分類されます。商標ライセンス型フランチャイズは伝統的なフランチャイズとも言われ、本部が製品・原料の供給と商標等の使用を認めるものです。後に自動車ディーラー、ガソリンスタンド業界がこの方法を取り入れました。
     一方、ビジネスフォーマット型フランチャイズは商標ライセンス型フランチャイズよりずっと後になって誕生した手法で、製品・原料の供給と商標等の使用を認めるものだけでなく、本部が開発した経営手法を使用することを認める事業形態です。ビジネスフォーマット型フランチャイズが世に出たのは第 2 次世界大戦後で、「ケンタッキー・フライド・チキン」、「マクドナルド」等が代表的なビジネス・フォーマット型フランチャイズといえるでしょう。マックや KFC は本部が本部が製品・原料の供給と商標等の使用を認めるだけでなく、店の作り方や売り方までも本部が提供します。
     ここまでお話しすると、トヨタ自動車のディーラーや出光のガソリンスタンドがフランチャイズなのという疑問が生まれると思います。そう、米国では商標ライセンス型フランチャイズとビジネスフォーマット型フランチャイズの両方ともフランチャイズに分類され、自動車ディーラーやガソリンスタンドもフランチャイズなのです。ところが、日本ではビジネスフォーマット型フランチャイズのみがフランチャイズなのですね。つまり、トヨタ自動車のディーラーや出光のガソリンスタンドはフランチャイズではないということになります。
     では、何故、日本ではビジネスフォーマット型フランチャイズをフランチャイズとして、商標ライセンス型フランチャイズをフランチャイズではないとするのでしょうか。実はこれについての明確な学説などは皆無です。ここでは小職なりの見解を述べさせていただきたい。
     1956 年、コカ・コーラが日本に上陸しました。当時、コカ・コーラは日本初のフランチャイズと言われたそうです。米国のコカ・コーラ本社が東京飲料という日本企業(後の東京コカ・コーラボトラーズ)に原液を供給し、コカ・コーラの商標使用権も与えました。つまり、商標ライセンス型フランチャイに該当し、国境を越えた国際的なフランチャイズということになります。
     ところが、本部が製品・原料を供給するとともに商標等の使用を認めるというビジネス手法はコカ・コーラが日本に上陸する前から日本に根付いていました。ダスキンがフンチャイズ展開を開始した半世紀以上前の 1907 年(明治 40 年)に、米国スタンダード石油が日本国内で特約店・代理店制度に着手しました。その後、1925 年にはフォード自動車、1927 年にはゼラルモータースが日本国内に販売網の整備に着手しまいた。
    戦前の日本企業も負けてはいませんでした。1920 年には資生堂がチェーンストア制
    度を構築し、今でもその店舗網は存在しています。1931 年のダット自動車製造(現日産自動車)、1935 年の豊田自動織機製作所(現トヨタ自動車)などが続きました。中でも、星製薬は、自社で製造したか家庭薬を販売する店舗網を作り上げ、最盛期の1923 年には店舗を 35,000 店以上にまで増やしたとのことです。ちなみに、星製薬は今でも存在し、創設者の星一は星薬科大学の設立者としても知られています。これらの展開手法は、本部が製品・原料を供給し、本部の屋号の使用を認めるという点で商標ライセンス型フランチャイズと同じということができます。
     さて、話は戻りますが、1956 年にコカ・コーラが日本に上陸し日本初のフランチャイズと自らを表現したわけですが、当時の流通業の専門家たちは困惑したに違いありません。コカ・コーラが日本初のフランチャイズというのなら、資生堂や星製薬はフランチャイズではないのかという議論が沸き起こるに違いありません。40 年以上も前にさかのぼり、資生堂が日本初のフランチャイズだというのも何とも間の抜けた話です。
     このような事情から、当時の流通業の専門家の皆さんが、日本におけるフランチャイズはビジネスフォーマット型フランチャイズだけをフランチャイズとし、商標ライセンス型フランチャイズは日本ではフランチャイズに分類しないという暗黙の了解ができたのではないかと思います。これなら、丸く収まりますね。                 ※無断転用を禁止します。                     BACK
  • やっぱりドトールが好き                            
     あまりコーヒー通ではないのだが、セルフ式喫茶店には度々行く。多分、2 日に一度は利用していると思う。スタバ、タリーズ、ドトール、ベローチェ、カフェドクリエ、プロント、サンマルクカフェ、 上島珈琲、などなど。何しに行くかというと、落ち着いてノート PC を開いてメールや最新ニュースを確認するためだ。スマホでも同じことができるが、いただいたメールに返信するという作業はスマホではなかなか難しい。こうしたセルフ式喫茶店の中でマイフェイバリットセルフ式喫茶店はドトールコー ヒーだ。ドトールは高級ブランドのエクセルシオール、星乃珈琲、パンの田島など新業態を開発しているが、ベーシックブランドのドトールコーヒーが一番落ち着く。失礼だが、ファーストブランドのコロラドに 関しては業態としての寿命を終えているのだと思う。 最近は遅ればせながら Wi-Fi も完備し、ますます使い勝手が良くなった。小職はドトールコーヒーを 選んで利用するロイヤルカスタマーと言ってもいいだろう。                   創業者の鳥羽氏とは面識があるくらいの付き合い(確か、2 度お会いして1 度名刺交換をさせていただいた)だが、「一杯のおいしいコーヒーを 通じてやすらぎと活力を与える」というブレない経営理念はとても素晴らしいと思う。とにかく、深煎りした美味しいコーヒーを良い雰囲気の中でいただくという点では、ドトールが一番だ。まあ、ドトー ルはおやじ用カフェという声も聞くが、これは事実だから仕方がない。これらセルフ式喫茶店のコーヒーの価格(ホットコーヒーのスモールサイズ)を比べると、ドトールが 220 円であるのに対して、スタバ 302 円、タリーズ320 円、ドトール 220 円、ベローチェ 200 円、カフェドクリエ 260 円、サンマルク 216 円、プロント 260 円、上島珈琲 360 円となる。個人的な考えなのだが、ドトールのブレンドコーヒーS サイズを 20%値上げして 264 円にしても、客の反発は受けないのではないかと思し、300 円でも何らの抵抗はない。私自身は値上げしても何らの反発は感じないだろう。ドトールの加盟店の収益がアップすれば今以上に満足を与えてくれるに違いないと思う。ドトールには正々堂々と値上げをして欲しいものである。ちなみに、ドトールのブランドの由来をご存じだろうか。創業者の鳥羽博道氏がブラジルでコーヒー農園を手伝うために渡伯し、その時の住まいがサンパウロの「ドトール・ビント・フェライス通り」にあったことが店名や社名の由来になっている。                                     ※無断転用を禁止します。                     BACK
  • 海外はチャンスにあふれている~海外進出のすすめ~                
     海外旅行に行ったことがある方は、日本の外食店は安くて美味しいということを実感す
    るでしょう。しかも、店は衛生的でサービスも良いというおまけ付き。よほどの途上国でない限り、ランチをワンコイン(500 円)で食べられることはほとんどありません。では、なぜ、日本の外食店は安くて品質の高い商品を提供するのでしょうか。日本の外食業の経営者がボランティア精神に溢れていて、薄利に満足しているからではありません。
     日本の外食業の特徴の一つは過小過多、つまり規模の小さな店がひしめき合っていてい
    ることです。東京の人口千人当たりのレストラン数(和食や中華等も含む)は、観光客であふれるパリやミラノを押さえて堂々の世界第一位(福岡市調べ)なのです。言い方を代えると、日本の外食店は外食店同士の厳しい競争にさらされているのです。
     また、中食の躍進が外食市場を侵食しています。近年の日本は、高齢化や共働き世帯の増加など社会構造の変化を背景に消費者ニーズは多様化しています。そのため、弁当や総菜等を取扱う中食市場は拡大基調にあり、業態を超えた競合が厳しさを増しています。
     そうした中、外食業の経営に重くのしかかるのが労働力人口の減少による人件費は高騰
    です。新興国の需要増や天候不順の影響で一部の食材の価格は上昇しています。日本の外食業は、小さくなったπを奪い合い、コストが増えても簡単には価格に転嫁できない構造ができてしまっているのです。
     そんな折、新型コロナウィルスは世界中に感染が広がり、日本経済にも甚大な影響を及ぼしています。日本の外食業もその影響をもろに被っており、未来の光明とも見えたインバウンド需要は消え失せました。国の支援策にもかかわらず外食業の倒産件数は急増しています。日本の外食業を取り巻く経営環境は厳しさを増し、外食業にとって日本はなんとも商売がやりにくい国になっているのです。
     海外を見渡すと、先進国といわれる国では美味しい食事やサービスに対しては一定の金
    額を支払うのは当たり前という文化が根付いています。牛丼 280 円というような不毛な価格競争はあり得ないのです。また、成長を続ける発展途上国では国民の所得水準が高まり、いわゆる中間層の人口が飛躍的に増えています。中間層の増加は、消費拡大をけん引し、外食への支出を拡大させます。つまり、海外に目を転じれば、日本の外食事業者にとって大きなビジネスチャンスが転がっているのです。
     こうしたことは外食業に限ったことではなく、サービス業や小売業でも同様の傾向にあ
    ります。東京の美容室でのカット料金は海外の主要都市に比べてかなり安く、それでいて美容師の技術は海外の美容師のそれと比較して高いと言われています。百貨店やスーパー、コンビニでも粗利を取りやすいのは海外店舗なのです。
     大阪に本社を置く大手外食チェーン企業であるグルメ杵屋をご存じの方も多いでしょう。同社の主力業態である「そじ坊」や「うどん杵屋」を利用したことがある方もたくさんいるものと思います。同社の 2020 年 3 月期の連結決算では、営業利益が▲251 百万円、不採算店の閉鎖で特別損失がかさみ純利益は▲1,089 百万円となり、過去に例のない大赤字となりました。もちろん新型コロナウィルスの影響は大きいものの、市場環境の変化への対応の遅れがこうした状況を招いたものと考えられます。グルメ杵屋では、7 月以降も不採算店舗の閉店に取り組んでおり、今期も蕎麦やうどん店を中心に直営の 80 店程度を順次、閉店するとのことです。これは、フランチャイズ店を含む全 443 店の約 2 割に相当します。まさに身を切る改革といえそうです。
     今、グルメ杵屋は海外への進出に復活の活路を求めています。2020 年 12 月にロンドンでセルフ式うどん店「杵屋麦丸」の直営 1 号店を出店しました。客単価は日本の 2 倍の 7.4 ポンド(約 1030 円)を見込んでいるそうです。海外なら、日本国内のような度を過ぎた価格競争に巻き込まれなくて済むのです。将来はフランチャイズ方式で多店舗化を目指すとのこと。グルメ杵屋は米国と香港で合計 5 店を FC 展開していますが、今後はフランチャイズ方式での海外展開に積極的に取り組んでいくようです。英国を足がかりに、欧州での出店拡大を目指す考えのようですし、身近なアジア地域への進出も視野に入れています。
     日本の経営者は、多額の投資が必要なうえに失敗リスクも高いことから海外展開にしり
    込みをしている方も多いようです。今回ご紹介する「フランチャイズ方式による海外展開ガイド」では、まとまった金額の投資が不要な海外展開の方法を提案しています。和食や日本の外食店は海外から高い評価を受けています。おもてなしの精神に富んだサービス業やきめ細かい売り場づくりが得意な小売業でも同様です。海外市場にチャレンジする価値は十分にあるのです。                              ※無断転用を禁止します。                     BACK
  • 我が家(伊藤家)のルーツ                                                                    NHKの人気番組「ファミリーヒストリー」にコメディアンで俳優の伊東四朗さんが登場 しました。「ファミリーヒストリー」は有名人の何代にもさかのぼる祖先を調べ上げそのル ーツを探ろうというもの。番組では伊東四朗さんの父方のルーツは静岡県伊東市にあり、平家に使えた豪族であったことを伝えています。これをみて、伊東四朗さんと私は浅からぬつながりがあることをおもい知らされました。実は、我が家の先祖も全く同じ、多分、私と伊 東四朗さんとは遠縁に当たるのだとおもいます。                                         少し前の話ですが、2012年のNHK大河ドラマは「平清盛」でした。NHKの大河ド ラマの視聴率は低迷していますので、記憶に残っている方も少ないかとおもいます。ドラマ の中で、清盛の家臣として伊東祐親(いとうすけちか)という人物が登場します。実は、伊 東祐親は我が家の先祖らしいのです。ドラマでは祐親役を峰竜太が演じています。 祐親は平安時代末期伊豆国伊東(静岡県伊東市)の豪族です。このことは、いくつかの歴史書を紐解いても確認することができます。                     祐親は、東国における親平家方豪族として平清盛からの信頼を受けましたが、平治の乱 に敗れて伊豆に配流されることになります。伊豆に流された祐親は、清盛から源頼朝の監視を任されました。                                                                                                     しかし、祐親が大番役で上洛している間に、祐親の娘の八重姫が源頼朝と関係をもって しまい、子(千鶴丸)を儲けるまでの仲になってしまいます。いつの世にも、禁断の恋と いうのはあるものなのですね。ところが、祐親はこれを知って激怒し、安元元年(1175 年) 9 月、平家の怒りを恐れて千鶴丸を松川に沈めて殺害してしまいました。さらに、頼朝自 身の殺害を図ったとされています。何ともむごい仕打ちです。           治承 4 年(1180 年)8 月に頼朝が打倒平家を目指しの兵を挙げると、大庭景親らと協力 して石橋山の戦いにてこれを撃破します。しかし頼朝が勢力を盛り返して坂東を制圧すると、逆に祐親は追われる身となり、富士川の戦いの後捕らえられ、娘婿の三浦義澄に預けら れます。頼朝の妻・北条政子が懐妊した機会を得て、義澄による助命嘆願が功を奏し、一時 は一命を赦されましたが、祐親はこれを潔しとせず「以前の行いを恥じる」と言い、自害し て果てました。一部の歴史家の間に、伊東祐親は粗暴で極悪人だったとの評価もありますが、 これについては評価が分かれるところです。                 平家が源平の戦に敗れたたあと、祐親の一族郎党の一部は落人となり今の静岡県浜松市 北区三方原(みかたっぱら)町付近に逃れたとのことです。そして、一族は、今の浜松市 中区池町にある真宗大谷派の寺院「芳蘚寺」を菩提寺として、寺に多くの寄進をし、寺の 存続に大きな貢献をしたと記録されています。実は、我が家が伊東祐親の末裔であるという ことがわかったのは、芳蘚寺に残されていた先祖の家系図によるもの。 おそらく伊東四朗さんの先祖は、源平の戦いに敗れたあと、静岡県の相良付近に逃れその 地に根を張り脈々と生き続けてきたものと思います。 さて、もう一つの疑問は、「伊東」の姓が「伊藤」に変えられことです。このことは長い 間、私の疑問だったのですが、NHKの「ファミリーヒストリー」では、伊豆国伊東の豪族 は藤原鎌足の流れをくむことから「藤原」の「藤」を充てたと推測していました。姓の文字 を変えるということは今では考えられないのですが、戸籍制度がしっかりと確立されてい ない時代には決して珍しいことではなかったようです。 浜松の芳蘚寺を訪ねてみると、墓石には伊藤姓がズラッと並び、それらの家系は私の遠縁 にあたるのだなと思います。これからも、先祖の供養を続けて行こうと思います。ついでに、 浜松のおいしい鰻をいただくことにするつもりです。          芳蘚寺 http://www5.ocn.ne.jp/~housenji/top                  ※無断転用を禁止します。                     BACK
  • 失敗しないフランチャイズ選び
                                             ろくなノウハウもないのにフランチャイズ展開をしているチェーンはたくさんあります。そんなチェーンに加盟してしまうと、最悪の場合、自己破産や家庭崩壊に追い込まれるかもしれません。
     フランチャイズ選びで失敗しないためには、当たり前のことですが、優秀なフランチャイズに加盟することが大切ですね。
    では、どうやって優秀なチェーンとダメチェーンを見分けるかですが、これはなかなか難
    しい。フランチャイズ研究会では、加盟希望者がフランチャイズ選びをする際、本部の何に着目すべきかをまとめた「フランチャイズ本部評価基準」を作りました。この基準を使って本部を評価すると、その優劣を案外簡単に判断することができます。今回は、その内容を簡単に紹介することにしましょう。
                                            ポイント①事業運営力
     店舗数の増減、チェーンで扱う商品やサービスの競争優位性、商品や食材の供給体制、本部加盟店間情報システムなどを評価します。加盟希望者がフランチャイズ本部を評価する際に最も重要な評価項目になります。
                                            ポイント②財務力
     財務上の収益性、安全性、成長性を評価します。特に安全性は重要で、本部が倒産すると、加盟者は大変な損害を被ることになります。本部の財務が健全であるということはとても大切です。ただ、一般の方が本部企業の財務分析をすることは簡単なことではないかもしれません。そういう時は、知り合いの税理士さんや商工会議所などに相談するといいでしょう。
                                            ポイント③情報公開度
     フランチャイズは、本部の立場から見ると、加盟者の資金や人材を活用して事業展開することができるというメリットがあります。その一方で、本部は、一般の企業以上に、経営情報を開示しなければならないというわけです。仮にマイナス情報(例えば撤退店舗情報など)であっても、進んで開示しようとする姿勢であるかどうかをチェックしてくださ
    い。
                                            ポイント④加盟店支援力
     研修の充実度、マニュアルの完成度、スーパーバイザーの資質や指導内容・訪問頻度などがポイントとなります。どんなに優れたノウハウを持つチェーンであっても、加盟者を指導したり教えたりするための仕組みがなければ意味がないわけです。
                                            ポイント⑤加盟店成功度
     優秀なチェーンであれば当然に加盟店も成功しているはずという仮説をもとに設けた評価項目です。契約の更新率、複数店舗オーナー割合などに着目します。契約期間が満了する際、加盟者がそのチェーンに満足していれば契約を更新するはずですよね。同じように、店の業績がよければ、2 店舗目、3 店舗目を出店しようとする加盟者が現れるはずです。

     さあ、どうでしょうか。この5項目でフランチャイズ本部を比べればその優劣が概ねわかるでしょう。ただ、この評価基準を使うためにはいくつか注意点があります。
     まず、この評価基準を使うときは複数のフランチャイズを比較するために使用してください。お目当てのチェーンをこの基準に当てはめて評価しようとすると、どうしても評価が恣意的になってしまい、評価する意味がなくなってしまします。
     次に、評価項目の中には本部が外部に公開していない情報もあります。
    こういう情報をどうやって集めるかということですが、法定開示書面、本部担当者への質
    問、加盟店訪問などによって収集することになります。つまり、ネット検索などで集めた
    資料だけでは不十分で、手間暇をかけて情報収集することが必要になります。      最後に、本部評価の重要な情報源となるのが法定開示書面です。ところが、本部が加盟希望者に法定開示書面を提示する時期は、契約を交わす前というのが一般的です。したがって、この評価基準を活用できるのは、加盟するチェーンを絞り込み、どのフランチャイズに加盟するかを最終的に判断する時ということになります。
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  • この加盟店はすごい!!                                                                      フランチャイズ業界に⾧い間携わっていると、多くの加盟店さんと知り合うことがあり ます。中には、本部が運営する直営店が足元にも及ばないほど、しっかり店を運営している 加盟者さんがいます。そんな中でも、私が一番印象に残っている加盟者さんはA学習塾チェ ーンのメガジー※であるMさんです。                      Mさんのすごいところは、事業を成功させるために飽くなき探求心を持っていること、そ して、何よりも人材育成に力をいれていることでしょうか。 Mさんは大学を中退してはじめた商売をたたみ、これに失敗したら後がないという覚悟 でA学習塾チェーンに加盟、Mさんのその時の年齢は 27 歳でした。 教室を開いた場所は東京都内の住宅地と商業地が混在する地域、もちろん、教室⾧はMさ ん自身が務めました。            開業当初のMさんは本部の指導を忠実に守り、本部のノウハウを吸収することに懸命で した。業績は順調で、わずか 2 カ月で損益分岐点を超える生徒を集めたとのこと。     Mさんの教室はたちまち繁盛教室になったのですが、Mさんは、2 号教室を出すのを 2 年 間思いとどまりました。その理由は、1 号教室の運営を通じて、A学習塾チェーンで成功す るための鍵は「人」であることに気が付いたからです。              フランチャイズは人材ビジネスとも言われます。 店の運営のノウハウは本部が教えてくれますが、実際に店舗を動かすのは加盟者自身、つ まり「人」なんですね。学習塾フランチャイズの場合、教室⾧の仕事は生徒に勉強を教える ことではなく、生徒の学習管理、講師の採用・教育、父母とのコミュニケーションなどにな ります。教室⾧は、その手腕によって生徒や父母の満足度が大きく違ってくるという、非常 に重要なポジションなのです。  フランチャイズでは、本部が人材育成を担ってくれる場合が多いのですが、Mさんはそれでは飽き足らなかったのでしょう。Mさんは自ら教室⾧を務めながら、教室運営を任せられ るMさんの分身を育てていきました。                      その後、Mさんは本部の研修システムを活用しながらも、独自に優秀な教室⾧を育てるた めの教育システム作りに取組んでいきます。具体的には、社内に社員教育専門の部署を作り、 社内研修で教育ビジネスに携わる人間としての心構えを叩き込み、ホテルマン養成の専門 教育機関に教室⾧(候補)を送り込みました。こうした仕組ができると、Mさんの教室は一 気に増えていきました。しかも、Mさんの教室の多くが、A学習塾チェーンの中でも屈指の 業績を残す繁盛教室となりました。Mさんの持論である「フランチャイズで成功するための 鍵は『人』である」が実証されたわけです。 フランチャイズ加盟店の皆さん、これからフランチャイズ加盟を検討されている方、是非、 Mさんの成功事例を参考にしてください。                                  ※店舗数 30 以上又はフランチャイズ部門の売上高 20 億円以上のフランチャイズ加盟店 ※無断転用を禁止します。                     BACK
  • 本部訪問のすすめ                                                                                                                                                                    フランチャイズ加盟を検討している方は、一度は本部を訪問してみるといいでしょう。 誠実で真面目な人は、その人柄が暮らしぶりに表れます。フランチャイズ本部にしてもこれは同じ。 どんなに取り繕っても、本部の本性は社内のあちこちに顔を出します。ということで、本部を訪問してみるといろんなことがわかってきます。                              1)立派すぎる本部オフィス                                                                                     まずは、本部オフィスが入居している建物に注目してください。 加盟希望者の心証をよくしようと、高い家賃を払って身の丈以上に立派なオフィスを借り ているチェーンがあります。 大手チェーンならまだしも、成⾧途上のチェーンは金回りがいいはずがありません。 高い家賃を払うより、その金をシステム開発などの投資に回すべきですよね。 立派なオフィスを見せて安心させ、加盟希望者を誘い込もうという魂胆がミエミエです。        2)直営店舗隣接オフィス                                                                                           1階が直営店舗で2階に本部オフィスというような直営店舗と隣接する形で本部オフィス を構えるチェーンはいいですね。フランチャイズ本部の何より大切な仕事は、しっかりとした業態を作りあげること。そのためには、社⾧をはじめとする本部のスタッフが、現場で何が起こっているか、 お客様の反応はどうなのかということを肌で感じることが必要なのです。オフィスと店が近ければ、現場の感覚をつかみやすいことは当然です。本部の社⾧やスタッフが現場から離れ、パソコンの数字だけを追っているようなチェーン は論外です。                                      3)オフィスの清掃がしっかりできていないチェーン                  次は、本部オフィスのあちこちを見回してください。「トイレの汚い会社はダメな会社」ということがよく言われますが、これは真実だと思うん です。 オフィス内の清掃が行き届いていないというのも同じこと。 トイレやオフィス内の清掃は、しっかりやったとしても評価の対象にならないような仕事、 だから、ついつい手をぬいてしまう。 つまり、自分の役割をわきまえて最善を尽くそうという意識がない証拠なのです。 本部スタッフの各々が、向上心が薄れ、惰性で仕事をしているのかもしれません。 これでは、フランチャイズ本部としていい仕事ができる訳がありませんね。                 4)社員教育ができていない本部                           最後は本部スタッフの応対です。 最近では、大学を卒業してもビジネスマナーが身についていない若者はたくさんいますが、 これは仕方がないこと。 大切なことは、上司が採用した若いスタッフさん(PAであっても同じこと)をしっかり躾 けているかということなのです。 例えば来客への対応、つまり、本部を訪問したあなたに対してどんな応対(受付け、挨拶、 お茶出しなど)をするかをみれば、このチェーンでスタッフ教育がきちんとできているかは 凡そわかります。 本部訪問時には、是非、チェックしてみてください。 フランチャイズというのは教育ビジネスとも言われます。 本部にとって、加盟者さんや加盟者さんの従業員を教育することはとても大切な仕事です。 本部スタッフの教育もろくにできないチェーンが、加盟者さんや加盟者さんの従業員をし っかりと教育できるわけがありません。                                     ※無断転用を禁じます。                                                                   BACK  
  • 外食 FC 加盟のポイント                                                                                            
     最近の外食フランチャイズでよく言われることは、業態のライフサイクルが短くなったということです。このことは、ファストフード、居酒屋、カフェなど外食フランチャイズのほとんどの業種に当てはまります。
     どんな商売でも、人間と同じように寿命があります。世の中に初めて登場して(導入期)、お客さんに支持されて売上が増加(成長期)、やがて売上が頭打ちになり(成熟期)、お客さんから飽きられて売上が減っていく(衰退期)、という四段階の過程をたどるということです。こうした一連の流れを、業態のライフサイクルといいます。業態のライフサイクルが短くなるということは、簡単にいうと、お客様からすぐに飽きられてしまい、店が長続きしないということ。このことを外食フランチャイズのオーナーの立場で考えてみると、事は重大です。
     多額の投資をして店がオープン、初めのうちは業績好調だったものの、初期投資を回収できないうちに売上が減り始めて、頑張ってみたものの売上が回復することはなく撤退、残ったのは借金だけ、ということにもなりかねないのです。
     経済が成熟してモノが溢れている日本で、お客さんは移り気です。業態のライフサイクルが短くなることは、やむを得ないことかもしれません。ですが、実は、業態のライフサイクルをある程度伸ばすことは可能なんですね。その証拠に、皆さんがよくご存じのナショナルチェーンといわれるようなフランチャイズは、どれも長命ですよね。
     外食フランチャイズへの加盟を検討している方は、加盟しようとしているチェーンに業態のライフサイクルを長くするためのノウハウがあるかをチェックしてください。ポイントとなるのは以下でしょう。
    1)飽きられない定番メニューがある
    奇をてらったようなメニューの店はブームが去ればお客様は離れていきます。単に珍しい、辛い、多い、見た目がいいなどは問題外です。メニューに、お客様が安定的に注文してくれるオーソドックスな定番商品があることは大切です。
    2)新メニューの開発に注力している
     新メニューはお客様を飽きさせない対策としてとても重要です。季節ごとのスポットメニューなども効果があるでしょう。実はメニュー開発を継続して行うことは大きなコストと時間を伴います。思いつきでは、新しい人気メニューは決してできないのです。本部に新メニュー開発の専門部隊があるなど、本部が新メニュー開発にどれほど熱心に取り組んでいるかをチェックすることが必要です。
    3)お客様を囲い込む販促策を確立している
     お客様を飽きさせない手立てはメニューだけではありません。お客様がまた来店したくなるような販促策が用意されているチェーンの店は、長い期間繁盛します。                  ※無断転用を禁じます。                                                                   BACK     
  • FC チェーンの人手不足対策                                                                                      
     最近のフランチャイズ業界での最大の懸案は、何と言っても人手不足対策です。そもそもフランチャイズ店は、業務が標準化され、PA(アルバイト・パート)さんでも店が回せる仕組みになっています。そして、PAさんを中心に店の運営をすることが、利益を確保するための前提になっているのです。つまり、必要なPAさんを確保できない店は存続すること自体が難しいといえるでしょう。
     特に都市部での人手不足は深刻です。そのため、敢えて好立地の都市部への出店を避け、郊外立地を目指す動きさえあります。例えば東京都内なら、山の手線の内側への新規出店を抑え、都心部から 20 キロ~30 キロほど離れた地域に出店を集中し成果をあげているチェーンがあります。このくらい都心部から離れると、人手不足感はかなり緩和されるといいます。しかも、資質の高いPAさんを集めやすく、時給水準も低めです。さらには、応募してくるPAさんは地元民であることが多く、PAさんに支払う交通費も節約できるとのこと。
     とはいえ、せっかく集めたPAさんがすぐに辞めてしまっては元も子もありません。PAさんに長い期間働いてもらい戦力化することが何より大切なのです。そこで、PAさんの定着率向上のための秘策を考えてみました。
    1)褒めて育てる
     今の若者は、親から叱られたことがない、学校の先生も生徒を叱らないという環境で育っています。ですから、叱られると大きく落ち込んで、叱った人を嫌いになることは普通にあります。叱りたくなる気持ちはわかりますが、頭ごなしに叱っていては定着率が高まるはずがありません。若いPAさん教育の基本は褒めて育てることなのです。
    2)早期退職を未然に防ぐ
     採用から 1~2 ヵ月ほど過ぎると櫛の歯が抜けるようにPAさんが辞めていきます。これは、現場で実際に働いてみて、自分なりに抱いていたイメージとのギャップに気づくからです。「職場の仲間と人間関係が良くない」、「店長と合わない」、「思っていたより仕事がきつい」、「給与が安い」など。そうなるとやる気が低下し、退職を考えるようになります。早期退職を減らすためには、働き始めてから 2 週間~1 ヶ月ほどの頃に、オーナーや店長が面談してみるといいでしょう。そして、どんなギャップを感じているのかを聞き出し、ギャップに対する共感や理解を示してあげます。働きぶりや仕事上の「強み(長所)」を認めてあげることも効果的です。こうすれば、かなりの割合で早期退職を食い止めることができます。
    3)やる気を引き出す仕組み
     おすすめは、店のスタッフに共通の“目標”を持たせることです。“目標”はいろいろで、売上や欠勤の回数、特定の商品の販売個数、など。レジでお客様から「ありがとう」や「ごちそう様」と言ってもらった回数、なんていうのもいいかもしれません。目標を持って働くことは、仕事にハリが生まれます。無目的に時間をお金に代えるだけの仕事より、はるかに仕事が楽しくなります。“目標”を達成した時には、賞品や賞金(高額である必要はない)を出せば、なお効果的です。“目標”を達成できなかったときは、何が問題であったかを全員で考え再チャレンジをさせましょう。
    4)評価
     これは悩ましいテーマですが避けては通れません。頑張っても評価してもらえないと、頑張ったPAさんは去っていきます。評価基準はいろいろあってもいいのですが、大切なことはわかりやすい基準であることです。例えば、レジ打ちができる、接客用語を使いこなせる、客単価向上の提案ができる、常連客になってもらうためのトークスキルがある、後輩PAを指導できる、など。ただ、これも偏った評価をすると不平不満が増幅します。店のオーナーや店長だけが評価するのではなく、PAさん同士がお互いを評価するという仕組を取り入れてうまくいったケースもあります。スタッフ全員が納得できる基準でPAさんをランク分けし、待遇に反映させましょう。
    5)活気のある店
     お客さんがたくさん来て忙しいと不機嫌になる方がいますが、こういう方は論外です。「仕事が楽だから店はヒマな方がいい」と考える方は決して多数派ではありません。店が適度に忙しくて活気のある店の方が、職場として魅力的なのです。繁盛していて、お客様が来店した時は明るい笑顔と元気な「いらっしゃいませ」で迎え、利用してくれたお客様に心からの「ありがとうございました」が言える店を作りましょう。PAさんが、「私、この店でバイトしてるの!」と胸を張って言えるような店にすることがポイントです。  ※無断転用を禁じます。                                                                   BACK  
  •  ■フランチャイズで成功する人                                                                                    
     フランチャイズで成功する人といっても、いろいろなタイプの人がいます。私の経験からフランチャイズで成功している人の共通点をお話しします。
     先ずは、経営者としての資質があることです。要は、フランチャイズをしっかり事業として管理して運営していく能力ということになるでしょうか。本部は店を営業するノウハウは教えてくれます。ですが、店を営業することと経営することは全くの別物。経営は加盟者自身の責任なんですね。優れた経営者であるためには、経営に関する知識は必要ですし、店のスタッフをまとめていくリーダーシップも大切です。会計知識もなくてはなりません。脱サラで独立開業する方でも、店がオープンした時から経営者です。経営者としての素養を身につけていれば成功の確率は高まるでしょう。ただ、これからフランチャイズ加盟を考えている方は、今から心配することはありません。店を開いてから勉強すればいいことです。
     次は、明るい未来を信じて頑張れる「前向き」な性格であることでしょう。フランチャイズは決して甘いビジネスではありません。店がオープンして、はじめから業績好調なんてことは滅多にあることではありません。つまづき、壁にぶつかりながら、一つ一つ課題を解決して目標に近づけていく努力が必要です。そんな時にいちいち落ち込んでいたのでは、成功はおぼつきません。フランチャイズの成功者の中には、過去に事業で失敗したという経験を持つ方が結構います。そうした方々は、過去の挫折を糧にして今の成功を掴んでいるんだと思います。事業に失敗はつきもの、明るく前向きであることは絶対に必要です。
     最後は、順応性とか適応性、つまり物事を柔軟に受け入れる素直さだと思います。このことは、フランチャイズ特有のことかもしれませんね。フランチャイズというのは、わかりやすく言うと、本部がビジネスモデルを開発し、加盟者がお金を払ってそのノウハウを教えてもらうということです。ですから、本部の指導に従って店を運営することが大前提で、店を繁盛させる近道は本部の指導を守っていくことなんです。店を営業していると、マニュアルに書かれていることより、「オレはこうしたほうがいいと思う」というようなことは度々あるはず。そんな時でも、マニュアルに素直に従う姿勢が大切です。自分のやり方でやりたいのならフランチャイズに加盟しないほうがいい。フランチャイズでは、「オレ流」は通用しないのです。                                                                                  ※無断転用を禁じます。                                                                   BACK  
  • 「無人営業業態」の将来性                                                                                        
     最近、小職が注目しているサービス業フランチャイズは、コインランドリーとレンタルボックスである。本部の立上げや加盟の相談を受けることも度々ある。コインランドリーやレンタルボックスのフランチャイズに加盟を検討している人に、理由を聞いてみると、人手が要らないビジネスだからという答えが返ってくる。確かに人手不足が深刻化するなか、人手要らずで事業ができるのは魅力的だ。その他にも、①売上規模は小さいが必要経費も少なく確実に利益がでる、②装置産業的な意味合いが強く投資として魅力的、③節税対策になる、などの特徴がある。
     どんな人がコインランドリーやレンタルボックス事業に関心を持っているかというと、安定的な仕事を持っているサラリーマン、不動産を保有している資産家、遊休資産を持っている中小企業経営者などである。つまり片手間で資産運用をしたいということなのだ。 フランチャイズショー2018 でもコインランドリーで3社、レンタルボックスで 1 社が出展していた。両業態とも店舗数を増やしているのである。本部に言わせると立地を間違えなければほぼ失敗はないという。だが、実態はそれほど甘いものではないようだ。最近では撤退店舗を見かけることも多くなった。                     コインランドリーやレンタルボックス業態が店舗数を伸ばしてきた理由は、業態の良し悪しとはほとんど無関係で、需要に対して供給が不足していたからに他ならない。確かに、近くにコインランドリーやレンタルボックスがあれば利用するという人はいるだろう。ただ、コインランドリーやレンタルボックスの市場規模はそれほど大きなものではなく、今後、市場が拡大するとも思えない。今のペースで店舗数が増えていけば、遅かれ早かれ、供給が需要を上回る時が来るだろう。そうなれば価格競争による消耗戦がはじまり、事業としてのうま味はなくなる。
     コインランドリーやレンタルボックスのフランチャイズへの加盟を検討されている方は、
    是非、このことを忘れないで欲しい。                                                                        ※無断転用を禁じます。                                                                   BACK  
  • フランチャイズ加盟のメリットとは                             
     フランチャイズのメリットは、自力で事業を興すより成功の確率が高いということでしょう。フランチャイズとは、本部が考え出した商売のやり方を本部の直営店でその有効性を実証し、加盟者がお金を払ってそのノウハウを買うことです。ですから、創業者が自分のアイデアを商売にした場合に比べると、成功する割合が高くなるという訳です。加盟者の店がオープンした後も本部が継続して指導してくれることもフランチャイズの特徴ですね。このこともフランチャイズの成功確率が高いことの要因となるでしょう。
     次いで、フランチャイズに加盟することで時間を節約できることも大きなメリットですね。言い換えれば、お金で時間を買うことができるのがフランチャイズなのです。例えば、ラーメン屋を開店することを考えてみましょう。ラーメン屋は高級和食などと違って職人技は必要ありませんので、素人でも比較的取り組みやすい商売です。ですが、スープの取り方ひとつとっても、求める味を出すことは簡単ではありません。美味しいスープを作るためには、夜な夜ないろいろな素材でスープ作りにチャレンジし、試行錯誤を続けていくことが必要かもしれません。あるいは、ラーメン店で修業してスープ作りのノウハウを勉強するという方法もあるでしょう。いずれにしても、1人前の技量を身につけて、お客さんが満足するような美味しいスープを作れるようになるには、それ相応の期間は必要になります。さらに、麺や具材だって同じことですし、店を運営していくためには経営の勉強も避けては通れません。こうして考えると、自力でラーメン屋を開業することはそれなりの年月と相応の準備が必要なわけです。
     一方、フランチャイズに加盟するのなら、一定期間の研修を受け、本部のサポートやマニュアルによってラーメン店をオープンさせることができます。本部が行う研修は、短期間で効率的に技術やノウハウを習得できるように組み立てられています。わからないことがあったらマニュアルが解決してくれますし、直接本部の担当者に教えてもらうこともできます。店の内外装工事の期間も含めて3ヵ月もあれば、全くの素人でもいっぱしのラーメン屋を開店できるでしょう。このように、フランチャイズは、独力でラーメン屋を開業するより、大幅に時間を節約することができるのです。                                               ※無断転用を禁じます。                                                                   BACK  
  • メガフランチャイジーをめざすには                                                                                                                                               日本のフランチャイズが歴史を積み重ねる中で、メガジーの数もどんどんと増えているよ うですね。私の感覚では、日本中に 200~300 社はあるのではと思います。メガジーの中に は、何の後ろ盾もなく、脱サラでフランチャイズ加盟してメガジーにまでのぼりつめたと いう猛者が数多くいます。つまり、メガジーになれるチャンスは誰にでもあるということ です。                                   フランチャイズに加盟するなら、目標は高いほどいいです。 さて、メガジーを目指すためのポイントは何かということですね。 まず、彼らに共通するのは、最初に加盟したフランチャイズで1店舗目を成功させている ことです。当たり前の話ですが、1店舗目で失敗してひどい目に合っていたら、これに懲 りて二度とフランチャイズには手を出しません。1店舗目を成功させるために何より大切 なことは、優秀なチェーンに加盟するということでしょう。                                     ところで、メガジーが最初のフランチャイズをどうやって選んだかということは興味深い ところですね。 ところが、メガジーといえども、幸運に恵まれたということも多いようです。たとえば、 加盟したフランチャイズがたまたま優秀なチェーンで、その後ナショナルチェーンといわ れるほどに成長したとか……。これからメガジーを目指す方は、結果オーライをあてにす るわけにはいきません。慎重の上にも慎重を期して、いいフランチャイズを選んでください。                               次にポイントとなることは、彼らが1店舗目を成功させたあと、ほぼ例外なしに同じチェ ーンで多店化していることです。 同じチェーンの店を複数出店することは、1+1が3になるほどのメリットがあります。 たとえば、本部から加盟金やロイヤリティなどの面で優遇されることもありますし、優良 物件を優先的に紹介してもらえるということもあるでしょう。 また、メガジーの社内に店の運営ノウハウが蓄積しますし、スタッフのやりくりという面 でも融通がきくようになります。 多店化のメリットは店舗数と正比例するといってもいいでしょう。                                では、同じチェーンの店を多店化するためには何が必要かを考えてみましょう。 第1には、1店舗目の成功で得た利益を次の投資に振り向けるという飽くなき成長意欲で す。稼いだ利益の大半を社長の報酬や社用車を買うことに充てるようでは、メガジーへの 道は開けません。 第2は、人材の育成です。 フランチャイズは人材ビジネスとも言われますね。 どんなに優れた業態でも、店を運営するためのしっかりした「人」がいなければいい結果 は残せません。 メガジーに共通するのは、人材育成の大切さを認識し、人材育成に金や時間を注ぎ込んで いることです。 最後は本部との信頼関係を構築するということでしょう。 言い換えれば、本部に、この人に店を任せたいと思ってもらえるようになることです。 そのためには、本部の指導を忠実に守りながら、お客様から愛される店を作り上げること です。 ※メガフランチャイジーはフランチャイズ部門の店舗数30店舗以上又は同部門の売上高 20億円以上のフランチャイズ加盟店と定義されます。                            ※無断転用を禁じます。                                                                   BACK                                                                                                                                
  • 危ないチェーンの見分け方〈その 1〉                                                                        
     チェーンの善し悪しを見る方法はいろいろあるでしょう。例えば、法定開示書面に書かれている本部の決算書、店舗数や売上の増減、契約更新率など。すでにそのチェーンに加盟しているオーナーさんの生の声なんていうのも判断材料になります。でも、加盟希望者が法定開示書面を見せてもらえるのは結構先の話です。それに、こういう数字をどういう基準で見るかは難しい。加盟店さんの店を訪問したりするのは、ある程度検討するチェーンを絞り込んだ後にやるべきことでしょう。もっと早い段階で、危ないチェーンを見極められればいいですね。そこで、フランチャイズ加盟を希望される方がたいてい経験する加盟説明会でのチェックポイントを伝授することにしましょう。
     結論から言うと、加盟説明会に参加した人を何とか加盟させてやろうという姿勢が見え隠れするチェーンはやめた方がいいでしょう。こんなことをいうと、「どんなチェーンだって加盟させようと一生懸命になってるんじゃないの?」と思う方も多いと思います。でも、ちゃんとしたフランチャイズ本部の立場からすると、「加盟したい人」より「加盟させたい人」なんです。真っ当なチェーンは、説明会に参加している人を何とか誘い込もうとか、金さえ持っていれば誰でも加盟させようとは考えないのです。それより、この人がチェーンに加わってくれたらしっかり店を運営してくれるだろうかを見極めることが大切なのです。ですから、甘い誘い文句を並べたりはしません。逆に、加盟してうまくいかなかった人の例などを紹介して参加者の本気度をチェックしたりします。
     加盟説明会で、たとえば月収 100 万円とか、2 年以内で投下資本回収が可能なんて説明会参加者が飛びつきそうなことを言われたら、これは疑ってかかったほうがいいでしょう。本部が言っていることは嘘じゃないかもしれないですが、それはたまたまうまくいった例。決して平均値ではないですよね。だって、そんなに儲かる商売だったら、加盟者にやらせるより、自分でやったほうがいいでしょう。
     それと、今後加盟金が値上げされるとか、今回だけ特別の加盟条件にするとか参加者の気持ちをくすぐるようなことを言ってくることもよくあります。今なら、抜群の物件を紹介できるなんていうのもありますね。これって、危ないチェーンの常套手段なのです。こういうような加盟を急がせるようなことを言われたら、その本部は信用しない方がいいでしょう。(フランチャイズ展開を始めて間もない)アーリーステージのチェーンの経営は結構厳しいことが多いです。システム作りや加盟店開発のためのコストがかさむからです。そんな状況で加盟契約を1件とれば、加盟金や保証金が入ってくる。店の工事や備品の調達を指定業者にやらせる場合だと、業者からのバックマージンも期待できます。アーリーステージのチェーンにとって、1 件の契約はのどから手が出るほど欲しいものなのです。ですから、加盟店開発の担当者の説明はついつい営業トークになってしまいます。皆さんも、このあたりの事情を十分理解してくださいね。フランチャイズ本部はボランティアではありませんし、善人の集まりではないのです。
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  • 危ないチェーンの見分け方〈その 2〉
     前回に続き危ないチェーンの見分け方についてお話しします。今回は、本部の「オフィス」と「スタッフ」にスポットを当ててみたいと思います。フランチャイズに加盟しようとする時、本部のオフィスを訪ねてスタッフから説明を受けることって必ずありますよね。そんな時の参考に下ください。
     まず、オフィスですが、まっとうなフランチャイズのオフィスってびっくりするくらい質素なんです。成長過程のフランチャイズは、高い家賃を払って立派なオフィスを借りるより、システム開発などもっと優先順位が高い金の使い方がある。でも、チェーンの規模に比べて分不相応に立派なオフィスを構えているフランチャイズってありますよね。こういうフランチャイズは危ない典型だと思うんですよ。加盟希望者に安心感をもたせて加盟させようとする魂胆が見え見えです。こんなフランチャイズに加盟してもろくなことはありません。
     オフィスの内部にも注目です。整理整頓ができていなかったり、掃除が行き届いてい
    ないフランチャイズは要注意です。これって、社員教育がしっかりできていない証拠なんですよ。社員の教育もろくにできない本部が、加盟店をしっかり指導したりすることなどできるはずがありません。反対に、トイレが清潔で、使われていないコンセントの差し込み口が塞がれているなんていう本部は評価してもいいかもしれません。トイレをいつも綺麗にしておくためには、汚れのチェックや掃除をスケジュール化しておくというシステムが必要なんです。コンセントのカバーは、差し込み口から埃が入ってショートすることのリスク対策です。細かいことですけど、こういうことってフランチャイズにとって大切なことなんです。
     次に、本部の「スタッフ」に注目してください。加盟店開発担当者が営業マンを感じさせるようなフランチャイズは危ないでしょう。先日、フランチャイズのイベントでクレームが多発している札付きフランチャイズのブースをのぞいてみたところ、繁華街でキャッチセールスをやっている人たちの集団のように見えました。身なりはきちっとしていても、本性というか雰囲気は隠せないものなのです。
     また、加盟店開発担当者がしょっちゅう代わるようなフランチャイズ、これもまた危
    ないと思います。こういうフランチャイズでは、「前任者が言ったこと」、「前任者に確認が取れない」などと平気で約束を反故にしてきます。これって、たまたま担当者が辞めたとか移動になったとかじゃなく、責任をあいまいにするための予定の行動なのです。
    こんなフランチャイズに加盟してしまったら、もう浮かばれません。
     社員の定着率が悪いフランチャイズも危ないですね。詐欺まがいのことをやっているフランチャイズでも、普通の感覚を持った社員はいます。こうした社員は加盟者を欺いているという自責の念にかられたり、加盟者とのトラブルに嫌気がさしたりして会社を去っていきます。だから、こういうフランチャイズはいつも社員の求人をしています。求人サイトで常連のフランチャイズはやめておいた方がよいかもしれませんね。さて、皆さんのお役にたったでしょうか。                                                                            ※無断転用を禁じます。                                                                   BACK     
  • やる気スイッチグループの M&A                          
     5月のサービス業関連のニュースでひときわ目を引いたのは、投資ファンドのアドバン
    テッジによるやる気スイッチグループの買収である。新聞紙上ではファンドの力を借りて
    上場を目指す「第二の創業」とあるが、どうしても疑問符を付けたくなる。やる気スイッ
    チグループは、自力で上場することが無理な規模ではないはずだ。内情はかなり厳しかっ
    たのではと思わざるを得ない。
     最近のやる気スイッチを見ていると、危うさを感じざるを得なかった。フランチャイズ
    イベントではやる気スイッチグループのド派手なブースはひときわ目を引いた。開発(加
    盟希望者を募り契約を獲得すること)部隊の人数はあり得ないほど多かった。そして、何
    より違和感を覚えたことは、次々に新業態を開発して世に出していたことだ。
     同グループが展開するブランドは、個別指導塾の「スクール IE」、学童保育「Kids Duo」、幼児教室の「チャイルド・アイズ」、英語・英会話スクール「WinBe」、バイリンガル幼児園「Kids Duo International」、キッズスポーツ教室「忍者ナイン」の6業態。すべて教育関連という括りにはなるが、ノウハウは別々だろう。
     言うまでもないが、業態開発は簡単なことではない。ナショナルブランドといわれる大
    手チェーンでさえ、新業態開発は挫折の連続なのである。ダスキン然り、吉野家然り、K
    FC然りである。1st ブランドに匹敵する新業態を作ることは至難のわざといっていい。
    やる気スイッチグループを見ると、「スクール IE」以外は俄作りの業態という感は否めな
    い。主力業態の伸び率が鈍くなると、これを補うために次々に新業態を開発するというのは悪徳チェーンの常套手段である。ろくなノウハウもなく、十分な有効性の検証もないうちに世に出すことから、加盟店にもエンドユーザーにも不満が募る。真っ当な本部が決してやってはいけない事なのだ。                           やる気スイッチが悪徳チェーンというつもりはないが、開発を最優先とする経営姿勢には共感できない。今回のやる気スイッチグループのM&Aを見ると、日本のフランチャイズのあり方に一石を投じたように感じるのは小職だけではないだろう。        ※無断転用を禁じます。                                                                   BACK      
  • 少子化の中、何故教育関連フランチャイズが強いのか                                                                                                                                  4 月のサービス業フランチャイズに目を引くような大きな動きはなかったが、教育関連 フランチャイズに関するニュースは相変わらず賑やかだ。学研や NOVA が新企画を打ち出 し、JTB の親子語学留学ツアーは盛況のようだ。 フランチャイズショー2017 でも、教育関連フランチャイズの出展数は 18 となり、昨年、 一昨年を上回った。学習塾などの教育関連フランチャイズはその勢いを増しているのだ。 2017 年 5 月 4 日に総務省がこどもの日を前に統計トピックスを配信し、その中で「我 が国の子どもの数」について触れている。それによると、2017 年 4 月 1 日現在の子ども の数(15 歳未満人口)は、前年に比べ 17 万人少ない 1571 万人で、昭和 57 年から 36 年 連続の減少となり、過去最低となった。少子化の流れが一向に止まらないのだ。                                                       ではなぜ世界に類を見ないような少子化が進行しているにもかかわらず、子どもを対象 とする教育関連フランチャイズが好調を維持できるのであろうか。その理由を解き明かし てみたい。                                                                                                               ●個人塾の衰退                                                                                                         かつてそこら中にあった個人経営の学習塾はその数を減らし続けている。塾長の個人的 な経験や資質だけを「売り」にする個人塾の経営は引き続き厳しいだろう。個別指導方式 など新しいシステムを取りいれたフランチャイズ学習塾は個人塾を淘汰しながら勢力を拡 大しているのである。                                                                                               ●ひとりの子どもにかける教育費は増加                                                                      少子化は教育関連フランチャイズにとって逆風であることは間違いないが、一方でひと りの子どもにかける教育費は増加傾向だ。子に期待しない親はおらず、親は少子化だから こそ惜しげなく子どもの教育費に金をかけられる。供給サイドから見れば、数量の減少を 単価でカバーしている構図だ。                                                                                  ●6 ポケット                                                                                                             子どもの教育費用を支払うのは子どもの両親だけではない。父親の両親、母親の両親の 合計 6 人がスポンサーだ。日本で最もリッチな世代は高齢者層なのだ。だから子どもの親 はたとえ子どもの教育費用が高額であっても負担できる。                                            ●インターネットを駆使した新業態の誕生                                                                   オンライン双方向学習システムなどこれまでにないインターネットを利用した学習シス テムを導入するチェーンが続々と登場している。このシステムだと、個別指導塾に比べて 月謝を安く抑えることができるだけでなく、塾の生徒は優秀な先生による授業を、インタ ーネットを通じて受けられるようになる。人手不足が深刻化する中、大学生のバイト講師 集めからも解放される。これまでのフランチャイズ学習塾では対応できなかった難関校受 験指導分野にも参入が可能だ。                                                                                  ●小学校の英語必修化                                                                                              2008 年度に小学 5,6年生を対象に外国語活動として小学校の英語教育は始まった。2011 年度に英語が小学 5 年生から必修となり、今では、小学校での英語教育はすっかり浸透し ている。英語教育の重要性は誰もが認めるところであり、教育関連フランチャイズに商機 を提供している。                                                                                           ●ターゲットの低年齢化                                                                                             教育関連フランチャイズのターゲット層は低年齢化している。ゼロ歳児を対象とする幼 児教室、幼児向け英語教室などが典型例だ。ターゲットとする年齢層の拡大は少子化の影 響を小さくしている。                               ●新たなニーズの誕生 女性の社会進出を推し進めるためには子育てのための環境整備は不可欠だ。保育園や学 童保育の充実は待ったなしの政策課題である。これまでこの分野は主に「公」の守備範囲 だったが、拡大するニーズに「公」だけでは対処できなくなっている。教育関連フランチ ャイズにビジネスチャンスが到来している。           ※無断転用を禁じます。                                                                   BACK               
  • 同姓同名                                                                                                                  
     この頃、間違い電話が頻繁にかかってくる。かけてくる相手はいろんな証券会社の営業担当者。株取引の口座を作って欲しいという営業の電話なのである。間違い電話の理由を調べたところ、ユーグレナという会社がマザーズに株式を上場することになり、有価証券届出書が金融庁経由で国内の証券会社に渡っているとのこと。その中の株主欄に「氏名:伊藤恭、住所:東京都杉並区、所有株式数:1,500、所有株式数の割合:0.06%」という記載があるらしい。                                                                                                   残念ながら私が出資したことはなく全くの人違い。実はこの人物は伊藤恭(やすし)という名の税理士さんで杉並区久我山に住んでいる。証券会社の営業マンが「伊藤恭・杉並区」をネットで検索すると、100%私にたどり着くのである。言うまでもないが私の本名は伊藤恭(きょう)である。「恭」は「やすし」とも読むが表記上は全く同じである。とにかく迷惑な話なのだが、事情を証券会社の営業マンに説明すると納得してくれる。
     余談だが、私は伊藤恭(きょう)という名前は超レアな名前で同姓同名者など滅多にいるものではないと思っていた。ところが電話番号検索で「伊藤恭(きょう)」を検索すると、「伊藤恭(きょう)」という電話契約者が実に日本中に二十数人いる。実はネットで「伊藤恭(きょう)」を検索すると私の他に2人の「伊藤恭(きょう)」という人物がが引っかかる。一人は大分県のドクターで、温泉療法の専門家として有名な方で2 度ほどテレビ出演しているところを拝見した。もうひとりはピグマリオンという教育法の考案者である幼児教育の大家である。生きているうちに、一度、この方々と会ってみたいものだと思う。
     実は「伊藤 恭」という名前は姓名判断でみるとあまりいい名前ではないらしい。特に
    「恭」は10画でこの画数を毛嫌いする人はたくさんいる。ところが、こんなレアな名前
    で、私は別にしても、著名な方が2 人もいるということは、この名前も捨てたものではな
    い。小さい頃は、「オヤジはヘンな名前をつけたもんだ」とずっと思っていたが、この考えは改めなくてはいけない。それに、この名前はおぼえてもらいやすいという利点もある。
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  • 伸びるフランチャイズの見極め方                                                                           
    加盟希望者にとって、伸びるフランチャイズの見極めは大切ですね。
    私が考える伸びるフランチャイズは「加盟したい人より加盟させたい人」を実践している
    フランチャイズだと思います。これって、フランチャイズの金言的な鉄則ですね。
    フランチャイズというのは、本部にとって、そんなに儲かるビジネスではありません。
    特にフランチャイズ展開を始めてしばらくの間は、本部の資金繰りは本当に苦しい。
    そんな時、のどから手が出るほど欲しいのが加盟契約なんですね。
    契約を1件取れば、本部は加盟金や保証金などを手にできますし、店舗の工事業者からの
    キックバックが期待できるかもしれません。
    こういう状況で加盟希望者が現れると、ついつい加盟させるかどうかの判断が甘くなりま
    す。
    例えば、以下のようなケースはよく聞きます。
    ①加盟希望者の資質や性格に問題があったが、目をつむって加盟をさせた。
    ②加盟希望者の自己資金が少ないので、直営では決してやらない居抜き店舗での開業を認
    めてしまった。
    ③加盟希望者の要求を受け入れて取扱商品や販売価格などで特例を認めた。
    ④立地に問題があるのはわかっていたが、加盟希望者自身が保有する店舗物件だったので、
    そこでの開業を認めてしまった。
    こうした判断は、結局、自分の首を自分で絞めることになるのです。
    資質や性格に問題がある加盟希望者が本部の指導通りに店を運営してくれるとは思えませ
    んし、お客様とトラブルを起こすかもしれません。
    本部はこうした加盟店をコントロールすることに大変な苦労を強いられることになるでし
    ょう。
    居抜き店舗を利用すると本部が決めた規格や基準と違った店になってしまいます。取扱商
    品・販売価格などでの特例を認めることは、お客様のチェーンに対する信頼感を損なうで
    しょう。いずれの場合もチェーンのイメージダウンは必至です。
    フランチャイズは、お客様がどの店を利用しても同じ商品、同じサービスが提供され、同
    じ満足を得ていただけることが原則です。
    資金が乏しい加盟店は目先の利益にこだわって、将来を見据えた地道な経営ができないか
    もしれません。人件費などの必要経緯費をケチったら、お客様は離れていきます。
    立地に問題がある店舗は、将来、不振店になる可能性が高いでしょう。本部として不振店
    を放っておくわけにはいきませんので、これまた、大変なエネルギーを投入することが必
    要になるでしょう。
    こうした事態が多発するようなフランチャイズは、成長どころではありません。
    無節操に誰でも加盟させてしまうようなフランチャイズは論外ということになります。
    反対に、伸びるフランチャイズは「加盟したい人より加盟させたい人」の鉄則を守り、加
    盟希望者をしっかりと選別しているのです。
    ※FRANJA 誌 Web「教えて先生」原稿を加工
    ※無断転用を禁じます。                                                                   BACK
  • こういう人がフランチャイズで失敗する                                                                 
     私は、フランチャイズで失敗する人の典型は「儲かりそうだから」という理由でフランチャイズ加盟する人だと思います。もちろん、人は霞を食べて生きていくことはできません。フランチャイズで利益をあげることは大切です。でも、利益だけを基準にフランチャイズを選んではいけません。フランチャイズに限ったことではありませんが、人それぞれ向いてる仕事、向かない仕事があります。
       たまたま加盟したフランチャイズが相性ピッタリということはあるかもしれませんが、そんなことは論外です。
       私自身のことをお話しさせていただくと、小学生の頃の私の成績表には、いつも「落ち着きがない」、「集中力がない」という先生のコメントが書かれていました。勉強嫌いではないのですが、じっと机に向かっていることが苦手で、毎日のように忘れ物するような生徒でした。
       人間の性格というのは簡単に変わるものではないんですね。私のようなタイプは、事務職とかは絶対に向いていないんです。もしかすると、お客様が来るのを待つ店舗ビジネスもダメかもしれません。
       最近、大盛況なのが介護関連フランチャイズ。デイサービス(通所介護)に訪問介護、介護タクシー、介護用品レンタルなど業種も様々です。ところが、介護関連フランチャイズに加盟しようとしている方の多くは、儲かりそうだからとか、これから伸びそうだからという理由で加盟しています。
       言うまでもありませんが、介護関連ビジネスは甘い仕事ではありません。
    もしあなたが介護関連フランチャイズへの加盟を考えているのなら、笑顔でお年寄りの排
    泄介助ができるかを自分自身に問うてみてください。もちろん、自分でやりたくなかったら、スタッフを雇って代わりにやらせることはできるかもしれません。でも、そんな姿勢のオーナーの下では、心のこもったサービスをしてくれるスタッフが育つわけがない。金儲けのために介護ビジネスをやっているというオーナーの本性は、利用者や利用者の家
    族に見抜かれるはずです。当然ですが、客(利用者)は去っていくでしょう。
       私は、介護が必要なお年寄りのお世話をすることに喜びを感じる人でなければ、介護関連フランチャイズなどをやるべきではないと思っています。                                            フランチャイズ選びの際に言われる格言にも似た鉄則に「万人に合うフランチャイズはない」というのがあります。加盟者希望者は、性別、年齢、性格、自己資金額、趣味嗜好をはじめ千差万別です。だから、フランチャイズに加盟する前に、自分自身を棚卸してどんな仕事が向いているかを真剣に考えてください。そのうえで、自分に合ったフランチャイズに加盟することが、フランチャイズで成功するためのポイントなのです。
       フランチャイズで失敗した人の中に、私には忘れられない方がいます。その方は、私が講師を務めたフランチャイズ加盟希望向けセミナーの受講者でした。ここでは、その方のことを「Aさん」と呼ぶことにしましょう。Aさんは、わからないことはどんどん質問をしてくる熱心な勉強家というタイプの方でした。                                                         Aさんから連絡があったのはセミナーから1年ほど後のこと。Aさんはリサイクル関連の小売フランチャイズ(Bチェーン)に加盟したとのことでした。「店をはじめて半年、予定していた売上に全く届かず、赤字の状態。それでもロイヤルティを払わなくてはならないことから、本部に対して我慢がならない」と打ち明けました。Bチェーンは堅実な運営をすることでは定評があるフランチャイズで、悪い評判も聞きません。
     Aさんから連絡をもらってからしばらくして、たまたまAさんの店の近くを通りかかったため、店を訪ねてみました。
     A さんの店は駅前商店街の一角に位置し、店の立地は問題がないというのが第一印象。
    店の様子を観察すると、商品の陳列は雑然としていて、掃除も行き届いていません。Aさんは無精ひげが目立ち、チェーンの制服を着ているのですがシャツは薄汚れていて、スラックスの折り目は消えています。店のスタッフには覇気がなく、店全体がよどんだ空気に包まれているような感じでした。そして、Aさんの口をついて出てくる言葉は、「本部が何もしてくれない」ということばかりです。
     それから数カ月後、店の前を通ってみると店はそのまま営業を続けているのですが、店の経営は代替わりしていました。話しを聞いてみると、別のオーナーが経営を引き継いだとのことで、皮肉にも店は以前とは比較にならないほど店は繁盛しているようです。
    その後のAさんの消息はわかりません。
     Aさんは、おそらく、フランチャイズで失敗して人生設計が大きく狂ったものと思います。店を引き継いでくれた人がいたため、Aさんの損失が小さくて済んだことがせめてもの救いです。
     私なりに考えてみると、Aさんがフランチャイズで失敗した理由は、Aさんがフランチャイズの本質を理解していなかったからだと思います。フランチャイズビジネスは、本部が考え出した商売のやり方を加盟者がお金を払って教えてもらい、加盟者はそのノウハウを使って商売をすること。ですから、「商売のやり方」が優れ、その教え方もしっかりしていて、加盟店の成功実績がたくさんあるチェーンが優良フランチャイズということになるでしょう。Aさんはチェーン選びという点では間違っていなかったかもしれません。
     ところが、どんな優良なチェーンに加盟したとしても必ず成功するとは限らないのがフランチャイズ。本部は商売のやり方は指導してくれますが、実際に商売をするのは加盟者自身なのです。Aさんはこうした当たり前のことをわかっていなかったのだと思います。
    Aさんのように、加盟店としてやるべきことをやらず、本部に頼るばかりでは、決して成
    功することはできないのです。
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  • 商店街のあり方を考える                                                                                                   
     先頃、中小企業庁の委託事業である商店街実態調査報告書(平成 24 年度版)が公表されました。国や行政が様々な商店街支援策を講じているにもかかわらず、相変わらず商店街の衰退に歯止めがかからない状況のようです。
       商店街の空き店舗が問題視されるようになって、すでに長い期間が経過しました。商店
    街に空き店舗が増えることは、商店街としての機能を低下させ商店街の魅力を奪います。
    しかし、平成 24 年度の 1 商店街当たりの店舗数は、昭和 60 年度のそれに比べると実に
    38.3%も減少(商店街実態調査報告書平成 24 年度版)しています。これでは商店街に空き店舗ができるのは当然で、商店街の空き店舗は時代の流れと認識すべきということかもしれません。
       最近、商店街の空き店舗が立派な住宅に建て替えられることをしばしば目にするように
    なりました。住宅といっても豪邸に属する部類の戸建住宅です。住宅の持ち主は空き店舗
    の所有者ではなく、商店街とは無関係の人が売りに出た商業地を購入し、住宅を新築して
    生活しているのです。商店街に立地するわけですから広い敷地というわけではありません
    が、共通するのは、大手住宅メーカーが施工した注文住宅で、車庫には高級車がドーンと
    あるというイメージです。
       実はこうした傾向は全国各地に共通することのようです。特に、県庁所在地の中心市街
    地から一本それた商店街に目立っているとのこと。杉並区内の商店街でも、同様の傾向が
    見受けられます。
       商店街立地に豪邸ができる背景には、①商店街が衰退して地価が下落した、②商店街の住宅は治安面での安全性が高い、③商業地であるため建ぺい率など規制が緩やか、④買物や通勤、通院などの利便性が高い、⑤昔ながらの近所付き合いができる、などがあるようです。なるほど、商店街に住居を構えることは様々にメリットがあるわけです。マンションから戸建て住宅に住み替えたいというニーズは資産家の高齢者などにあるようで、某大手住宅メーカーは、こういう人たちに対して、商店街立地住宅を盛んに薦めているとのことです。
       こうした流れは商店街にとってはあまり歓迎できないことかもしれません。ですが、私
    の個人的な考えですが、こうした住宅と商店が共存する新しいタイプの商店街は、これか
    らの商店街のあり方として注目に値するのではないでしょうか。こういう商店街で成立す
    る店は生活に密着した質の高い商品やサービスを提供する店であることは言うまでもあり
    ません。ですが、商店街として催事や販促活動をする必要はあまりないでしょう。
    商店街を取り巻く環境が大きく変化する中、商店街のあり方について考え直さなければな
    らない時期に来ているのかもせれません。                                                                  ※無断転用を禁じます。                                                                                BACK               
  • 銀行口座が作れない                                                                                                
     かつては銀行口座を開設することなど簡単なことで、同じ銀行の同じ支店に複数の口座
    を持っていることなど決して珍しいことではありませんでした。先日、株式会社フランチャイズブレイン社を立ち上げ、早速銀行口座を作ろうと意気込んで銀行に行ったところ、早速躓いてしましました。
       実は、私の個人としての事業は8月で終了し、9月より新法人が業務を引き継いでいま
    す。従って、9月になってからの業務の報酬は当然に新法人の売上となります。ところが、仕事は終えたけど、振込先の銀行口座がないということで、取引先から苦情が届いています。
       銀行から指示された通りに、定款の写し、履歴事項全部証明書、代表者身分証明書、法
    人印鑑証明書、法人設立趣意書、開設時貸借対照表、株主名簿、税務署に提出した事業開
    始届け、給与支払い開始届けなどをもれなく提出しました。訪ねた銀行は 35 年以上の取引歴があり、住宅ローンまで借りている三井住友銀行阿佐ヶ谷支店、窓口のお姉ちゃんによれば「新設法人の預金口座はすぐには開設できない」という冷たい返答。これからこれらの資料を基に審査するとのことでした。
       3日ほどたって銀行から連絡があり、審査はパスしたものの、さらに登記上の本店所在
    地となっている建物の賃貸借契約書又は登記簿謄本が必要と連絡がありました。会社の本
    店所在地は自宅であるため、その自宅が私の名義であることの確認が必要なのだそうです。本日、法務局まで行って建物の謄本を取得しましたので、これでなんとか株式会社フランチャイズブレインの普通預金口座が開設できそうです。
       銀行がこうまで口座開設に厳格になっている理由は、警察庁からの指導が背景にあるよ
    うです。そして、警察庁がこれほど神経質になっているのは振込詐欺の温床になっている
    架空口座を作らせないためのようです。ネットで得た情報では、最近では、バーチャルオフィスを利用して創業した場合、銀行口座開設は不可。自宅でパソコン1台で創業するような形態でも口座開設が難しいようです。
       振込め詐欺は卑劣な犯罪の典型です。何とか振り込め詐欺を失くしてもらいたいのは同
    感ですが、我々の自由な経済活動にも影響があるのは困りものです。
    ※無断転用を禁じます。                                                                                BACK               
  • 元気な企業はここが違う                                                          
       中小企業にとって厳しい経営環境が続いていますが、増収増益を続けている元気な企業
    が多数存在することも事実です。このような元気な企業は、技術力が高かったり、品揃が
    すばらしかったり、販売力に秀でていたり、営業力が強いなど、特徴は様々です。ところ
    が、こうした元気な企業の目に見える部分での成功要因が全く異なっても、企業の基盤と
    なる部分では共通項が多々あります。コンサルタントとして多くの企業とお付き合いをさ
    せていただいている小職が、独断と偏見で元気企業の要件を分析してみました。事例をも
    とに、元気な企業の5つの類型をまとめました。
    1.元気な会社は理念が根付いている
    「あなたの会社の経営理念は何ですか」と聞いて、すらすらと出てくるような社長さん
    はめったにいません。「何のために商売をしているのか」は、会社の原点であるはず。はじめは、「この商売で儲けたい」程度の考えしかなかったと思いますが、これでは会社は伸びません。小職が社員教育をお引き受けした不動産仲介のA社の経営理念は、地域のお役に立つこと。そして、この理念が社員全体に浸透し、実践されています。A社では、毎朝の朝礼後、雨が降っていない限り社員総出で付近の清掃をしています。通勤途中のたくさんの住民が、A社社員に「ご苦労様」と声をかけていきます。なんと、A社ではこうした活動を18年続けています。だから、A社の付近一帯はいつもきれいです。もちろん、本業の不動産仲介にも、この理念が生きています。A社は、最寄の駅を中心とした同業者の中では断トツのシェアをとり続けています。
    2.元気な会社は社員教育ができている
       いまの家庭では、子供を叱らない親など珍しくありません。学校では、先生が生徒の横
    に降りてきて、まるで友達感覚のような教室も多いようです。このようにして育ってきた
    多くの若い社員は躾もできていないし、一人前の人間としての素養も備わっていません。
    会社は、成果を追及する共同体です。わがままは許されませんし、集団の中の一員として
    仲間を気遣い、仲間と協力し助け合わなければなりません。こうした会社の常識を理解さ
    せるためには、教えこむ以外ありません。社員教育に力を入れている会社に、元気な会社
    が多いのは当然です。小職のセミナー参加していただいた食肉卸企業B社は、ブランド豚
    の分野では都内でトップレベルの売上規模を誇っています。B社では、社員教育に支出を
    惜しみませんが、B社の社長曰く、もっとも効果的な社員教育は、「社長が自ら社員を叱り、社員を育てる」とのことです。B社の営業マンは、誠実な行動、秀でたリテールサポート能力により、業界では高い評価を受けています。
    3.元気な会社にはすぐれた人事システムがある
       C社は煎餅、おかきなどの米菓の小売業、店舗数は10店舗、年商は15億円となかな
    か頑張っています。C社は創業社長をはじめとした兄弟3人で会社を設立。当初、順調に
    推移していた業績が、店舗数が3店舗を超えた時、壁にぶつかりました。兄弟以外が店長
    を務める店の業績がどうにも振るいません。そこで、C社社長は考えました、頑張った社
    員に報いる人事システムを構築する必要があると…。C社では、創業者一族の親戚縁者は
    一切入社させないという方針を決めました。つまり、頑張った社員は報いられ、社長にま
    で昇進できるチャンスがあるというモチベーションを与えるためです。そして、人事評価
    はすべて成果主義に徹しました。それ以来、言うまでもなく、創業社長の兄弟以外が店長
    を務める店の業績が改善されました。現在の社長は3代目、創業社長と血縁関係は一切あ
    りません。一般社員の中から成果を認められて昇進しました。また、C社のナンバー3、
    常務取締役を務めるのは50歳の女性。彼女は子育てが片付いた18年前、パートとして
    C社で働き始めました。その後、正社員として採用され、店長に登用され、現在の役職に
    至っています。もちろん、創業一族と血縁関係は一切ありません。
    4.元気な会社は社長にリーダーシップがある
       小職が顧問を務める中古車販売D社の成長の原動力は社長のリーダーシップです。中古
    車業界は、若者のクルマ離れ、ガリバーなどの新業態の参入、メーカー系ディーラーの市
    場参入、ネットオークションの台頭などで壊滅的な状況にあります。D社社長はこれまで
    のやり方ではD社が生き延びていくことは困難と考え、会社の存亡をかけて、これまでに
    ない中古車の売買システムの開発に取り組みました。社長の強いリーダーシップがなけれ
    ば、こうした思い切った決断はできません。D社は、今、業界内で注目の存在となってい
    る。D社が開発したシステムとは、ネットオークションの問題を解決した個人間売買シス
    テムで、中間マージンを大幅にカットすることで、車を売りたい人は高く売れ、車を買い
    たい人は安く買える画期的な売買システムです。現在、D社はこのシステムをベースにし
    てフランチャイズ展開し、業績は急拡大しています。
    5.元気な会社には良い組織がある
       良い組織体制とは何か?世の中の社長さんがいつも思い悩むところでしょう。小職が考
    える中小企業に適した組織とは、権限と責任が明確で尚且つ社員の自由で闊達な創意工夫
    が活かされる組織…。そんな理想的な組織体制を実現しているのは、フランス人のオーナ
    ー社長が率いる外食企業E社。E社の社内組織は機能型組織を基本にして、権限と責任の
    所在が明確です。上司と部下の関係では規律が保たれ、社内にはいつも緊張感が漂ってい
    ます。にもかかわらず、柔軟性も持ちあわせ、現場からの提案を次々に取り入れています。また、報告・連絡・相談(いわゆるホーレンソー)が徹底されています。組織形態としては、典型的な日本型の組織です。こうした組織は特に珍しいというものはありませんが、このような組織を構築することは簡単なことではありません。E社は11年前、フランス人社長が東京で創業、国内での店舗数を5店舗に増やし、今では各方面からの出店要請にお断りするのに困るほどです。昨年(07 年)はパリ店をオープンさせました。日本国内同様、パリ店も好調で、地元の専門誌ではパリ最優秀レストランに選出されました。こうした好業績をささえているのが、しっかりとした組織なのです。
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  • 杉並発の飲食ベンチャー「げんこつ屋」倒産                                                        
     帝国データバンクによれば、都内を中心に15店舗を展開していた「げんこつ屋」が資
    金繰りに行き詰まり、事実上倒産した。負債総額は約15億円とのことである。
    「げんこつ屋」の創業は昭和56年、1号店は青梅街道沿い、地下鉄新高円寺駅の近く
    であった。「げんこつ屋」のラーメンは、一般には高級料亭でしか使わないまぐろ節を贅沢に使い、いっさい化学調味料を使用しないというこだわりの和風スープで人気を集めた。女性が1人でも入れるラーメン屋というこれまでにない業態を作り上げたという点も評価できるだろう。「げんこつ屋」は東京ドーム横の温泉施設ラクーア、渋谷109、カレッタ汐溜、お台場のアクアシティーなどにも出店し、事業規模を拡大していった。「げんこつ屋」は我らが地元杉並発の飲食ベンチャーとして期待されていたのである。「げんこつ屋」倒産は、「げんこつ屋」オーナーとも面識があった小生にとっても残念である。
       小生はかつてより「げんこつ屋」に注目していた。注目というより、その危なっかしい
    経営にいつかこうなるのではという懸念をいだいていたというのが本当のところである。
    小生が「げんこつ屋」の経営に危うさを感じていた点は3つある。第一は、無茶苦茶な
    立地選定である。「げんこつ屋」のような業態であれば、戦略の基本は一度来店した客にまた来させることである。つまり、どれだけげんこつ屋ファンを作れるかがポイントだ。そうであるとしたら、観光地的性格が強い渋谷109やお台場のアクアシティーへの出店は、小生には理解できない。また、杉並診断士会がしばしば使う新東京会館1階にあった店舗も全く不可思議。「げんこつ屋」の客は「げんこつ屋」のラーメンが食べたくて来店するのである。同じ商圏内に複数店舗(当時、阿佐谷には「げんこつ屋」が全部で3店あった)を出店すれば、客を取り合うだけである。「げんこつ屋」は、このように首をかしげたくなるような立地に出店し、わずかな期間で撤退した店が実に多い。おそらく償却もすんでいないで、内装や什器備品の除却損はかなりの金額になり、経営の足を引っ張ったに違いない。
       次は、接客のひどさだ。小生は「げんこつ屋」の店に行って接客がよかったという記憶
    が一度もない。客を客とも思わない態度、従業員同士のおしゃべりなどよくもこれだけひ
    どい接客ができるものだというレベルである。おそらく、「げんこつ屋」に従業員教育という言葉は存在しないのであろう。ラーメンの食べ歩きに類するブログを書いている人は数多いが、「げんこつ屋」の店員の接客態度はこき下ろされている。これでは、客はまた行きたいとは決して思わないはずである。
       最後は、コスト感覚の甘さである。げんこつ屋の店舗はいわゆる一等地に多い。多分、
    ラクーア、渋谷109、カレッタ汐溜、アクアシティーなどの賃料は坪5万円/月は下ら
    ないだろうし、保証金(敷金)も相当な額だろう。ラーメン店の売上は、チェーン店の場
    合だと平均して月坪20万円とれればいいほうであろう。ラーメン店の収益構造というの
    は、原価率が思ったより高く、一般的にはFLコスト(原材料費と人件費の合計)は 60%(もちろん、一般的な外食に比較すればFLコストはかなり低いのだが…)を超える。減価償却費やその他の経費を考えると、売上に占める家賃の比率が20%を超えるラーメン店などありえないのである。                                                                                  ※無断転用を禁じます。                                                                   BACK
  • 銭湯への補助金                                                                                                       
     近年、一般家庭での内風呂が増えたことや賃貸アパートでも風呂付が当たり前となった
    ことから、銭湯利用者が減少し、経営不振の銭湯が増えている。銭湯は、わかりやすく言
    えば代表的な不況業種なのである。国は昭和56年「公衆浴場の確保のための特別措置に
    関する法律」を施行し、これに基づき各自治体は、施設の改善等に対し補助金を交付して
    いる。家に風呂がもてない低所得者への支援という側面もあるのかもしれない。ところが、それでも銭湯は減り続けている。私の住まいの近くでもいくつもの銭湯が廃業し、立派なマンションに建て替えられている。銭湯経営者は広い敷地を持ち、一般的に言えばかなりの資産家である。はたして、銭湯に補助金という政策は評価されるべきものであろうか。わたしは、決して賛成できないし、こうした支援策は即刻やめるべきだと思う。社会環境の変化により、消費者のニーズが変化して衰退する業種はいくらでもある。酷なようだが、こうした業種の企業は市場から退出するのが資本主義経済のルールなのである。あるいは、新たな事業分野を開拓して生き延びていくしか方法はない。かつて、ワシントンポスト紙が衰退する銭湯に補助金を出す日本式産業政策を嘲笑する記事を書いていたが、私も全く同感である。
      もし銭湯がなくなれば、もっと効率的で利用者にとって魅力的な新しい業態が生まれるかもしれない。国や自治体の産業保護政策が非効率な産業を存続させ、経済のダイナミズムを奪っているのである。こうした、特定の産業に対する保護政策は枚挙にいとまがない。銭湯の利用者の利便性を守るためというのであれば、銭湯がなくなって困る住民に、内風呂を作る費用を補助すればよいのである。
      かつて、日本の一人当たりGDPは世界のトップレベルであった。総務省の調べでは   「失われた10年」を経て、2007年のランキングでは世界第19位にまで下降している。現在の一人当たりGDPの上位国は、アメリカでもなければ、アラブの産油国でもない。第1位は、ルクセンブルク、次いでノルウェー 、アイスランド、スイス、アイルランド、デンマークと続く。一人当たりGDPダントツ1位のルクセンブルクはヨーロッパの小国で国土は神奈川県ほどで人口は約87万人、ベネルックス3国に属する国である。ルクセンブルクを含め、一人当たりGDPの上位諸国はいずれも小国ばかりで、日本同様鉱物資源などほとんどない国々である。ハーバード大のA・アレシナ教授の最近の研究では、人口の少ない小国に豊かな国が集中している理由は、小国の経済は国外に依存することなしには成り立たず、経済活動がオープンで自由でなければ生きていけないことが理由らしい。だから、小国では決して国内産業を保護するような産業政策を採らない。その結果、非効率な分野は淘汰され、全体的に生産性が高まるのである。
       09年夏の衆議院選挙で自民党が大敗し、民主党政権が誕生した。だが、今後さらに高
    齢化が進展し、人口減少社会が到来する日本が豊かであり続けるためには、経済を成長さ
    せ続けなければならない。そのためには、規制緩和を更に進め、経済を市場の委ねるべき
    なのである。国や自治体は衰退産業を保護するように政策を即刻止め、農家に所得保障す
    るといった時代の流れに逆行する政策は決して採ってはいけないのだ。日本の潜在能力を
    発揮させるためには、国や自治体は自由でオープンな経済活動を保証する土俵を整備する
    ことが役割だと思うのだか……。民主党政権になった今、日本の将来に不安を抱かずには
    いられない。
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  • 最近のフランチャイズ加盟の実態を解く

     フランチャイズ研究所代表の黒川孝雄氏は、フランチャイズ店舗の直営店、加盟店の比
    率を推計し、さらには独立行政法人経済産業研究所(RIETI)が実施した調査からフ
    ランチャイズ店舗のオーナー数及び複数出店オーナー数、複数出店オーナーの店舗数を試
    算している※。日本フランチャイズチェーン協会が発表した最新の 2004 年度版データをこの試算にあてはめると、オーナー数は約7万4千人、そのうち複数出店オーナーは約1万9千人。全体の26%弱のオーナーが、フランチャイズ店舗全体の69%強を保有し、平均所有店舗数は6.4店舗ということになる。一部のオーナーによる多店化が進んでいるといえる。こうした実態の背景には、加盟したチェーン(単一チェーンとは限らない)で成功を収め、2店舗、3店舗(あるいはそれ以上)と店を増やしている複数出店加盟店が相当数存在するということだろう。これらの加盟店はフランチャイズ加盟を成長戦略の手段と捉える法人企業がほとんどである。

    ・台頭するメガフランチャイジー
     メガフランチャイジーという言葉を耳にするようになって、それほど長い年月は経過し
    ていない。メガフランチャイジー(以下メガジー)とは、巨大なフランチャイズ加盟店と
    いう意味で、フランチャイズ加盟店の成功者である。社団法人中小企業診断協会東京支部
    フランチャイズ研究会(伊藤恭会長)では、「メガフランチャイジーに関する調査研究報
    告書」の中で、メガジーを加盟店部門の売上高20億円以上もしくは加盟店店舗数30店
    以上のフランチャイジーと定義している。
     この定義に該当するメガジー企業が日本にどれだけあるかは不明だが、おそらく、100
    社程度はあるというのが一般的である。正確な数字はわからないのは、チェーン本部にと
    って、誰がそのチェーンに加盟していて何店舗を展開しているかは企業秘密であり、外部
    に公表することはないからである。
     メガジーを排出しているチェーンはケンタッキーフライドチキン、ミスタードーナッツ、吉野家が代表格。そのほかには、ブックオフ、TSUTAYA、ハードオフ、オートバックス、明光義塾、牛角などだろう。これらチェーンは店舗数も多く、売上規模も大きい。社会的にも認知度が高いチェーンということができる。

    ・複数出店加盟店はメガジー予備軍
     メガジーの成長過程を個々に見ると共通項があることに気付く。メガジーはほぼ例外な
    く、最初に加盟したチェーンの1店舗目で成功した後、そのチェーンで多店化して成長の
    基盤を固めている。このように考えると、近い将来、前述の同一チェーンで複数出店する
    加盟店がメガジーに成長することは相当数あるだろう。そうした意味で、彼らはメガジー
    予備軍であるといえるだろう。

    ・加盟店の多店化展開に積極的なチェーン
     本部にとって加盟店の多店化はメリットとデメリットがある。最大のメリットは、実績
    がある優秀な加盟店に複数店舗を引き受けてもらうことで、新規出店の失敗リスクが軽減
    し、将来に渡って安定的に収益が見込めることである。どんなに優れたチェーンにも必ず
    あるのが不振店。立地の優劣という面もあるだろうが、繁盛店と不振店との分かれ目は加
    盟店オーナーの資質に負うところが大きい。
    デメリットとしては、まず加盟金やロイヤルティの値引きによる一時的な収益減少があ
    る。加盟店の多店化に積極的なチェーンでは、2店目以降の加盟金を優遇することも多く、ロイヤルティを割引く場合もある。また、加盟店の多店化を推進する場合、事業規模拡大のスピードが落ちる可能性が高いだろう。よほどの規模の加盟店でない限り、短期間で複数店舗を出店することは難しい。それより、複数の新規加盟店に出店させたほうが短期間に店舗数を拡大する早道である。
    本部にとって加盟店の多店化は、短期的に見るとそれほどメリットがあるとは思えない。
    だが、前述のメガジーを排出した名だたるチェーンは、加盟店を育成しながら加盟店の多
    店化を積極的に進め、自らも日本を代表するチェーンに成長したのである。視点を変えれ
    ば、こうしたチェーンのフランチャイズ・パッケージが優れていたからこそ、加盟店は複
    数出店に応じたのである。このように考えると、加盟店の多店化に積極的なチェーンは、
    将来大きく飛躍する可能性を秘めているといえるだろう。
    ただし、加盟店の多店化に積極的なチェーンだけが優良チェーンではない。日本一のチ
    ェーンと目されるセブンイレブンは、基本的に加盟店の多店化を好ましくないと考えてい
    る。その理由は、店舗運営の最適なユニットは家族単位と考えているからである。

    ・多店化の功罪
     加盟店から見て同一チェーンで多店化することは、①自分自身で実証したビジネスに再
    投資することによるリスク軽減、②条件面での優遇、③本部からの重点的なサポート、④
    人材育成が容易、などのプラス面があるだろう。
    一方、同一チェーンで多店化する場合、予期せぬ外的要因によって経営が窮地に陥る可
    能性がある。例えば、BSEや鳥インフルエンザ、道交法改正による飲酒運転取締りの強
    化など。牛丼、焼肉、ステーキ、焼き鳥、フライドチキン、ロードサイド立地の居酒屋な
    どの加盟店が打撃を被ったことは記憶に新しい。加盟チェーンを分散したほうがこうした
    リスクは低下する。
     次いで、店舗数の多い成熟期のチェーンに加盟した場合、新規出店の余地は少なく、既
    存店の買収などの手段を用いない限り多店化はむつかしい。メガジーが最初に加盟して多
    店化したチェーンのライフサイクルを見ると、ほとんどがアーリーステージの段階である。
    だが、アーリーステージのチェーンの中から、将来大きく成長するチェーンを見出すこと
    は決して簡単なことではない。
     さらには、例え成長過程のチェーンに加盟したとしても、多店化は遅かれ早かれ壁に突
    き当たる。特に飲食業、小売業の場合、既存店との商圏のバッティングもあり、一定エリ
    ア内に好立地の店舗物件を確保することは簡単なことではない。                                  ※無断転用を禁じます。
    ※㈱フランチャイズ研究所ホームページ「FC時評」を参照                                           BACK

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